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備忘録・自作テーブルソー・自作塗装ブース・DIY等

11式自作塗装ブース 完成!

2011/06/27 01:03  
自作シリーズ第5弾となるのは「塗装ブース」です。プラモデル製作時の塗装作業で塗料のニオイが臭くてたまらないので塗装ブースが欲しくなったのですが市販品はちょっと高いし、ネットで使用感などを読んでみるとパワー不足とか、自分の部屋に適した構造とも言えないので自作することにしました。製作テーマは「安価・強力・コンパクト」。



●設計思想

1.効率的な吸気と排気

 絶対条件はちゃんと塗装ミストを排気すること! 吸気力がなければ塗装ブースの意味がありません。確実に吸気・排気を実行できるよう数々のアイディアを組み込みました。ホビー用塗装ブースとしては世界最多と思われる5つのファンを組み込んだ、クインティプルファン仕様!


・吸気用前面パラレルツインファン
 ファンの吸気力を最大限に活かすため、スプレーガンの至近になる前面配置とし、さらに2つ並べパラレルツイン仕様にして吸気力を2倍に高めました。なお、パラレルツイン吸気ファンは間を詰めて吸気力の一点集中化を図った。



・排気用エキゾーストファン
 パラレルツインファンの後方に排気用のファンをもう一つ配置して排気能力向上と逆流防止を図りました。プロペラファンの弱点である静圧を補い、空気の流れを決定づけ吹き返しを無くすこのファンの存在は大きいです。



・押し込み用サイドファン
 吸気より排気の方が強い風だということが塗装ブース設計の大きな課題だと考え、強制的に吸気ファンにミストを吸い込ませるように世界初(たぶん)の「押し込み用ファン」を設置。特にフィルターがあると吸気ファンの吸気能力がガクンと落ちますから、「押し込み用ファン」の役割は絶大と言えるでしょう。
 塗装ユニットをすり鉢状にして空気が吸気ファンの一方向へスムーズに流れるようにし、両サイドに「押し込み用ファン」の風が出るようにして中央部の塗装エリアに干渉することなく吹き返しを防止し強力な風の流れを実現させました。

2.コンパクト設計
 模型製作が趣味といっても年にいくつも作るようなヘビーモデラーではないので、場所を取る塗装ブースを常時設置するのは非合理的。使わない時はコンパクトに収納できるよう、ファンユニットと塗装ユニット、排気ダクトユニットが簡単に分割できる3ピース構造にしました。収納時のスマートさをここまで考慮した塗装ブースは自作はもちろん、市販品でも存在しないでしょう。スクエア形状なので物置などに収納しやすく、メーカー品と比べ1/2以下と脅威のコンパクトさを実現。(ダクトは別ね;) 設置も工具不要で2分程度でできる作りになっています。
 ちなみに、ファンは8cm角のDCファンを採用したので家庭用の一般換気扇よりコンパクトで自由な設計が可能。

3.コストパフォーマンス
 塗装ブースの使用頻度を考えると大金を投入するのは無駄なので極力安価に仕上げることにも力点を置き、ファンは以前廃棄したプリンタから取り出しておいたものを流用し、塗装ユニットはタダ同然の段ボールを使うことにしました。もっとも、製作過程で凝り始めてしまい予算オーバーしちゃったけど。(汗

4.機能性
 安価に仕上げると言ってもカッコ悪いのはダメです。機能性も妥協してはいけません。
・流体力学
 塗装ブースで大事なのは空気の流れを読んでスムーズに排気させることと考え、吹き返しのない工夫をしました。もっとも、流体力学なんて学問を勉強したことはないので今までの経験と勘で設計。
 窓枠に設置する排気口は外の風が逆流してこないようにフード付きのステンレス製ガラリを採用し、台風の日でも使える耐候性を実現。板にはミゾを付けて窓枠に挟み込む構造にしたので脱落しにくく、かつ簡単に脱着ができるようにしました。

・メンテナンス性
 メンテナンス性にも気を配り、必要な部分はネジ止めで分解できる作りにし、フィルター交換も工具無しに簡単に行える構造にしました。



・内蔵LED照明
 塗装ユニットのフード上部にLED照明を設置して暗がりを解消。塗装の状態がシッカリ確認できます。


・操作性
 主電源スイッチを操作しやすい塗装ユニット上部に配置。また、主電源スイッチ一発でファンとLED照明を動かすことができるとともに、ファン、LED照明のどちらか一方だけ止めるといったことも可能な回路設計になっています。


・仕上げ
 仕上げにもちょっと拘りました。極力シンプルなデザインにし、見た目のスマートさにも配慮。塗装はつや消し黒で統一して精悍さを出し、自作デカールやステッカーでそれっぽい雰囲気を出して見ました。おかげで2,000円近くも余計に掛かってしまった…。


●先人たちの自作塗装ブースを考察する


 さすがに模型を趣味としている人は塗装ブースくらい簡単に自作してしまうので、ネット検索するとたくさんヒットします。他人の自作塗装ブースを見るのもナカナカ興味深い。大多数の人は一般の換気扇を利用して風量の確保に努めていますが、コンパクト性や収納・設置性、見栄えなどに難がありそうなので自分はちょっと敬遠。ガムテープは使いたくない。(苦笑 それに人と同じじゃつまらない。


●市販品を考察する
 塗装ブースを自作する上で一番参考になるのはメーカーの製品でしょう。基本的な構造や工夫、弱点を知ることによってどう製作すれば良いのかがわかってきます。

スプレーワーク
ペインティングブースII
(ツインファン)
スプレーワーク
ペインティングブースII
(シングルファン)
Mr.スーパーブースブラックホール
ツインファン


 以下のHPは市販品のレビュー記事を掲載しているサイトです。実際に使ってみた感想は大いに参考になります。
模型制作環境研究委員会
模型の花道

●フィルターについて
 塗装ブース最大のネックはフィルターの存在です。フィルターは必要不可欠なものではありますが、フィルターが厚いと空気の透過率が下がり本来の目的が達成できません。自転車で速く走ろうとすると空気が抵抗となりますが、空気がないと息ができなくて走れない、みたいな呉越同舟関係。
 タミヤの初期型ペイントブースなんかはまさにその問題の代表例みたいな製品で、フィルター機能を高めたために吸気力の著しい低下を招いてしまいました。


 長い経路と複雑なフィルターによって吸引力が極端に落ちる構造。結局、タミヤは吸引力を高めた新構造の「スプレーワーク ペインティングブースII 」を後に発売する。

 フィルターの配置構造を考察し、自分なりの回答を出してみました。

・フィルターはファンの至近に設置
  フィルターに直接息を吹いてみればわかりますが、距離が開けば開くほどフィルターを透過する風量が減少します。これは大気中の空気が抵抗となり息の勢いを殺しているのだと考えられ、このことからファンとフィルターの間は近ければ近いほど抵抗がなくなりファンの吸気力が維持できると推察できます。

・フィルターの量
 フィルターは枚数を増やすほど塗料ミストを取り除けますが、空気の流れまで阻止してしまうので多ければいいというものではありません。感覚的にフィルター1枚で風量7割低下している感じ。2枚にしたら9%しか透過しない計算になります。また、透過しなかった空気はフィルターで跳ね返り吹き返しとなって塗装作業の妨げとなるでしょう。フィルターは1枚が基本。2枚の場合はピッタリ重ねて使用する。

・ハニカムフィルターの意義
 塗料ミストを軽々と通してしまうハニカムフィルターにフィルターとしての意味があるのかと始めは思いましたが、波消しブロックと同じように、空気の吹き返し防止効果があると理解しました。ハニカムフィルターで風威を止め、停滞した空気をファンで吸い込む。このような見解で上手く利用すると良いのではないでしょうか。


クレオス ハニカムフィルター サイズ 490×280×30。

 こう考えてみると、クレオスの「GT03 Mr.スーパーブース」って、結構ツボを押さえた作りをしていたなと思います。スプレー塗装では普通のフィルターだとすぐに詰まってしまうので、そういう点でも有効かな。

クレオス GT03 Mr.スーパーブース
価格:18,900円(税込)

楽天価格:11,302円(税込)〜
●ファンを考察する
 ファンはシロッコファンとプロペラファンに大別できます。市販品のほとんどはシロッコファンを採用していて、カタログなどには「高い吸引力」とか書かれているけども、実は風量はプロペラファンの方が大きく優位だったりします。では何故市販品はシロッコファンを使っているのか。そこでシロッコファンとプロペラファンの特性を考えてみましょう。
◆シロッコファン

・外風やダクトなどの形状に強く、安定した風量が確保できる。
・静圧が高いので、機密性の高い住宅の換気扇に向く。
・風量が小さいのでスブレー塗装では吸気が追いつかない場合も。


◆プロペラファン(軸流ファン)

・風量が大きく、扇風機などに向く。
・静圧が低いため不安定で、機密性の高い住宅の換気扇には不向き。
 簡単にまとめますと、ローギアのシロッコファンとトップギアのプロペラファンって感じでしょうか。 つまり、シロッコファンは静圧が高い(馬力がある)ので外の大気圧や風などに左右されることなく安定した排気ができるが、風量(スピード)ではプロペラに劣る。逆にプロペラは風量(スピード)には勝るけど、静圧が低い(馬力がない)ので外の気圧や風に弱いってことです。(外の大気圧が室内より低ければプロペラファンの方が高効率になります。宇宙船に穴が開いた感じですね。)

 風量と静圧はギヤ比と同じように反比例の関係にあります。下表はあるファンモーターの静圧と風量を表したグラフ。


 市販品がシロッコファンを採用しているのは以上のような安定した排気性能を重視した結果だと推察できますが、これとは別に大きな理由があると思うんですね。それは排気経路です。
 プロペラファンだとプロペラに対してまっすぐ排気しないと吹き返しが発生して吸引力がガクンと落ちてしまいます。吸引力を落とさないようにするとダクトをまっすぐ配置しなければならず、奥行きが必要になり製品化しにくいという事情が発生するでしょう。しかし、シロッコファンは上や横に排気する構造になっているのでコンパクトな設計ができ、製品化しやすいのです。なお、ファンのプロベラは枚数が多いほど静かになります。



 ファン形状に関係なく吸引力はファンに近い方が絶対的に強いので、塗装エリアにできる限り近いところに取り付けるのが効果的でしょう。

 三菱電機のWedサイトでは各種ファンの特性を詳しく解説しています。
羽根の種類と送風機/三菱産業用送風機
風量と風圧/三菱産業用送風機

 うまく設計すればプロペラファンでもシロッコファンに負けない塗装ブースが構築できると思います。


●設 計
 設計図はアドビのIllustratorを使って作成。ホントはCADソフトなんかがベストなんだろうけど、持ってないので仕方ない。単純な平面構造なのでIllustratorでも十分。(苦笑


 前述したように「ファンユニット」「塗装ユニット」「排気ダクトユニット」の3ピースで1つの塗装ブースを形成します。作りながら考えると絶対に失敗するので事前にIllustrator上でシミュレートし煮詰めます。



 使わない時は「ファンユニット」を「塗装ユニット」内に収納できるよう各々のサイズを決めました。また、「塗装ユニット」は1/35の戦車を無理なく塗装できるサイズを想定し、幅は40cm以上としつつ、高さは市販品の30cmもいらないので25cmに設定。
●「ファンユニット」の製作
・ボディ
 ファンユニットのボディは見た目がきれいで安価なMDFボードを採用しました。スピーカーのボディなどに使われているアレです。高強度の割りに削りやすく工作がしやすい。ただし、構造的に「ブ厚い紙」なので水分を吸収しやすく水にとても弱いです。
 加工は自分でやると絶対に真っ直ぐ切れないのでホームセンターの加工サービスを利用しました。商品代金428円に対して工賃は倍以上取られたけど、仕方ない。組立は木工用ボンドで接着しますが、故障に備えてメンテナンスが容易にできるように上部と背面パネルはネジ止めとしました。



・ファンモーター
 取り付けるファンは以前廃棄した大型プリンタから取り外しておいたミネビア製80mm角 38V DCファン。諸元データがないので詳しい性能はわかりませんが、定格電圧38V、定格電流0.1Aということから風量50CFM、静圧40Paくらいかなと思います。


38Vの製品は市販されていないのでOKIデータの特注品みたい。

 吸気にファンを2つ使用。その後方に排気用のエキゾーストファンを設置してプロペラファンの弱点である静圧と吹き返しを解消しました。


このエキゾーストファンの存在はとても大きいです。

 定格電圧38V+38V+30Vの計106Vなので、直列つなぎにしてそのまま直流に変換した100V電源に接続します。
※直列繋ぎにするとブッ壊れるモーターもあるので自己責任で行ってください。並列接続が無難。

 吸気が2つで排気が1つだと本来ボトルネックになりますが、フィルターを付けると吸気の風量が半分以下になるので無問題。

(50+50)÷2−50=0

・回路
 回路はこんな感じ。「ファンユニット」と「塗装ユニット」をどう繋げるかちょっと悩みましたが、丁度3系統なのでRCA(いわゆるAVケーブル)で接続するようにしました。



 コネクタを多用して分離しやすくし、メンテナンスを容易にしています。

 ユニットの中には簡単な回路とACアダプター等を取り付けます。



 回路の設計ってパズルを組むようでちょっと楽しいですね。設計通りに動いたときは嬉しいし、ミスった時に爆発しないかハラハラドキドキ。(笑

●「塗装ユニット」の製作
・ボディ
 「塗装ユニット」は軽量な段ボールを採用。段ボールは10年くらい前に購入したアーロンチェアの梱包に使われていたものなのですが、いつか使うだろうと思って取って置いたものです。やっと役に立ちました。(笑



 結構固い段ボールではあるのですが、これだけでは耐久性・強靱性に不安があるので薄いベニヤを貼り付け強度アップを図ります。こちらのベニヤもいつか使うだろうと思って取って置いた絵画用のパネルをバラして使いました。薄いのでカッターで切断でき、作業効率が良いです。

・サイドファン
 市販品も含めて世界初と思われるサイドファンを設置しました。ファンは種類に関係なく排気より吸気の方が弱いので、その弱点を解消すべく空気を送り出すファンを取り付けた次第。また、市販品を含めた他の塗装ブースは端の方の吸気がほとんど行われない構造になっているのでその問題にも対処してみました。なお、塗装作業に干渉しないよう中央の作業エリアには風が侵入しないレイアウトにしています。

 ファンモーターは60mm角12V。こちらも詳細不明なものですが、定格電流0.17Aなので風量23cfm、静圧56.8Paかなと思います。



 こちらは12VのACアダプターで電源を取ります。ついでにパイロットランプのLEDも抵抗を噛ませて光らせます。(光らせる必要性はないのですが、光るとカッコイイでしょ。(笑 )

 擂り鉢状にして塗料ミストをスムーズに吸気ファンに送り込むデザインにしました。



 右が中身。左はカバーをした状態。吹き返しを利用して風を拡散させ、ダクトから出た風は塗料ミストと臭気をハニカムフィルターに押しつける。

・フィルター
 ペーパーフィルターは100円ショップで購入した換気扇フィルターを流用。余計な空気抵抗を減らすため、吸気ファンの直近に取り付けます。

 前面のハニカムフィルターは段ボールを切り貼りして自作しました。高い物でもないのでクレオスのものを使おうとも思ったけど、雨が降っていて外出が億劫だったので作ってみた次第。そのまま何の考えも無しに自作フィルターに合わせて塗装ユニットの製作を進めてしまい、後で厚みの互換性がクレオスのものとないことに気づいた。今後、ハニカムフィルターは自作しなければならなくなりました。(汗


自作ハニカムフィルター。段ボールを15mm間隔でカットして、水に溶かした木工用ボンドを筆で塗り接着していきます。内職気分が味わえるぞ!


下に写っている段ボール1枚から上のフィルター1枚が作られる。厚めかつ柔らかい段ボールが理想的。

 ハニカムフィルターの取り付けは上からスライドさせるだけ。ミゾにはめ込む構造なので固定力はバッチシ。


ザクッと差し込むだけ。

 ペーパーフィルターの交換もファンユニットのフロントパネルにマジックテープで固定するシステムなので簡単。メンテナンス性も考慮した設計です。市販品より簡単確実かも。


フィンガードはф1.5mmの真鍮棒2本だけなので抵抗が少なくパワーロスを極限まで低減。
●「排気ダクトユニット」の製作
 市販品は窓を空けてホースを外に出す必要がありますが、冬場は寒いし、風のある日はせっかく排気したミストが部屋に吹き返すこともあるので塗装ブースとして不完全。クレオスから幅の狭い「排気口アタッチメント」が発売されていてそれを利用している人もいますが、やはり隙間があり完璧ではありません。完全に外気を遮断するために「排気ダクトユニット」の設置が不可欠と判断して製作することにしました。

 窓枠に設置する板に3mm厚のベニアをチョイス。窓枠に固定できるように三層にして挟み込む構造にしつつ強度のアップと軽量化を図ります。



 排気口には雨風に強いフード付きのステンレス製ガラリを取り付け、板は塗装して雨天時の作業も考慮した作りにしました。



 ファンユニットとガラリを繋ぐ排気ホースには伸縮するフレキシブルアルミダクトを採用。直径75mmとそれなりの太さがあるので空気の流れも滞ることなく確実にミストを排出します。

長さは約30cm。伸ばすと1mほどになります。


 ●塗 装
 各ユニットの基本組み立ては終わり。そのままだと何か、江戸時代のエレキテルみたいな機械っぽい雰囲気なので黒く塗装することにしました。

 塗装前の各ユニット。木目や段ボールの素地そのままで締まりがありません。

色がバラバラなので一体感がありませんね。

 塗装はつや消しブラックのスプレー塗装。ヘタにツヤがあると安っぽく見えます。


スプレー缶(つや消し黒2本+つや消しクリア1本)3本を消費

 次は自作シリーズ定番のデカールマーキング。どんなデザインにするか少し悩みましたが、無難にタミヤ製品っぽいものにしてみました。なんちゃって製品名は「SPRAY-WORK PAINTING BOOTH TYPE11 QUINTUPLE FAN」!


Illustrator で作成したデータをMD-5500でクリアデカールにプリント。


 メタリックシルバーのデカールをつや消しブラックのボディに貼付。マーキングするとグッと一気に引き締まります。デカール保護のためにつや消しクリアを吹きましたが、これが落ち着いた仕上がりになりナカナカいい感じになりました。パッと見、タミヤ製品みたい。


ファンユニット。グラフィックデザインで印象がガラリと変わります。

 自分で言うのもなんだけど、ムチャカッチョイイです。エレキテルが塗装ブース以上の機械の感じになりました。フィンガードに採用した真鍮棒のゴールド色が高級感を醸し出していますね。まー、塗装ブースをカッコ良くしてもあんまり意味ないんだけど。(苦笑


塗装ユニット(収納時)。中にファンユニットが収められています。

 塗装ユニット内の下部面はプラカラーがこぼれても拭き取れるよう、ラミネート加工したカッティングシートを貼り付けました。(ラミネート加工はデカールの保護の他に高級感を出すことができます。) 上部のLED照明には透明アクリル板を取り付けて汚れに対処。サイドパネルは汚れても塗装作業のついでにフラットブラックを吹き付けて修繕するつもりなのでそのままです。(笑


塗装ユニット(設置時)。この中での作業なら確実に吸気します。

 ダクトパネルは雨に濡れても大丈夫なよう、ちょっと厚めに塗りました。


ダクトユニット。幅140mmと、必要最低限のサイズにしました。


ダクトを外から見た状態。コンパクトサイズかつつや消し黒なので存在感が小さく違和感ないですね。


3ピース構造。カラーとマーキングを統一して一体感が出ました。こういうグラフィックにすると何かちゃんとした製品みたいですね。新発売!(笑

 説明を省いてしまいましたが、塗装後に電装作業をして完成です。


●「11式自作塗装ブース」完成!

 完成しました−。名称は自衛隊っぽく「11式自作塗装ブース」と命名!

設置、収納とも約2分。


ファンユニットと塗装ユニットを結合した状態。塗装ユニットをファンユニットに被せるように設置するだけなので工具いらず。

・市販品並の吸気力
 線香の煙とチリ紙の吸着枚数で吸気性能を簡単に測ったところ、GSIクレオスのスーパーブースくらいの能力はあるみたい。ハニカムフィルターから30cm離れた距離でもなんとか煙を吸い込んでいたし、2ツ折にしたチリ紙も8枚吸着しました。ただ、市販品を大幅に上回る性能を目指していたのでちょっとガッカリかな。ま、実用性はあるようでひとまず安心。



・圧倒的なコンパクト設計
 市販品との比較。塗装ユニットとファンユニットが一体化している市販品と比べ、11式は簡単に分離できる構造なのでコンパクトに収納できます。


ファンユニットを塗装ユニットに収納することで驚異的なコンパクトさを実現。



 11式も展開時はタミヤ製品と同じくらいの大きさですが、収納時はもっともコンパクトなタミヤ製と比べても約半分ほどのサイズしかありません。設置・収納の簡便さと収納性の高さは、にわかモデラーの自分には絶対外せないポイントなのでこのコンパクト設計は我ながら満足。タミヤ以外は収納性をあまり考えていないみたいですからね。電源コードも直付けだとブラブラして嫌なので、差し込み式のコネクタ接続。

・LED照明
 タミヤやGSIクレオスはフードに透明や半透明のフードを使って明るさの確保に努めていますが、11式は段ボール素材なので光を透過させることができません。それで塗装ユニット上部に照明を設置できるだけのスペースがあるのでライトを内蔵させることにしました。
 光源には省スペースかつ発熱もほとんどないLEDを選択。以前ヤフオクで安価に購入したイルミネーションのLEDが大量に余っていたのでこれを38球使用。なお、イルミネーション用の形状のままだと光が横に拡散してしまうので頭を削って平らにし、光線が直進するようにしました。



・その他の便利設計
◆取っ手
 持ち運びにとっても便利な取っ手を付けました。ソニーBDレコーダーの段ボールに付いていた物を流用したもので、取り外しも簡単。


◆塗装ユニット上部スイッチ
 主電源のスイッチは塗装ユニット上部に設置してON/OFFがしやすいようにしました。サイドに取り付けると塗料のビンや模型パーツが邪魔になって操作しにくくなりますからね。市販品のコードの途中にある手元スイッチより操作しやすいです。


◆柔軟な電源回路
 基本的に主電源スイッチだけで「メインファン」「サイドファン」「LED照明」の3つを動かすことができますが、場合によっては「LED照明」だけを点けたいこともあると思うので、ファン専用のスイッチをファンユニットに設置し、ファンを止めることができるようにしました。また、「サイドファン」だけを止めたい時はサイドファンのコネクタを非接続状態にすれば良く、「LED照明」だけを点けたくない場合はLEDのコネクタを非接続状態にすれば良いように状況に応じた対応ができる設計にしました。
●重量
・ファンユニット:1,533g
・塗装ユニット:1,619g
・ダクトユニット:917g

使用部材
・段ボール0円
・メインDCファン ×3ヶ0円
・サイドDCファン ×2ヶ400円
・ACアダプター(12V)200円
・ロッカースイッチ ×2ヶ10円
・RCAジャック ×3120円
・AVケーブル0円
・電源コード0円
・基板70円
・基板取付スペーサー84円
・ブリッジダイオード30円
・電解コンデンサ40円
・ヒューズ30円
・電源ソケット95円
・収縮チューブ0円
・MDFボード(9×910×300)428円
・ベニア(4×910×450)580円
・ベニア(2mm)0円
・角材(910×15×15)3本315円
・角材(910×9×9)105円
・真鍮棒(300×1.5/3本)179円
・アルミダクト(75×1000)1,080円
・ガラリ・ダクトキャップ(75)680円
・クーラーキャップ(75)480円
・ベルクロバンド ×2296円
・ネジ(4×50/6本)×2200円
・ネジ(5×30/2本)0円
・ネジ(3×20/2本)0円
・ネジ(3×40/8本)100円
・ネジ(3×13/5本)100円
・木ネジ(3×16/4本)0円
・ナット(5mm)68円
・LED(5mm 38個)186円
・LED(3mm 1個)20円
・プラバン(1.2mm)0円
・透明アクリル板(2mm)0円
・カッティングシート0円
・フィルター105円
・木材加工賃1,320円
・ペンキ105円
・ラッカースプレー(ブラック)380円
・ラッカースプレー(つや消し)380円
・ラッカースプレー(ブラック)680円
・クリアデカール200円
・木工用ボンド(150g)×2210円
合 計9,275円

使用工具・機材

・電動ドリル
・ピンバイス
・ドリル刃
・ルーター
・電工ペンチ
・+ドライバー
・木工用棒ヤスリ
・ハンダこて
・テスター
・ノコギリ
・Pカッター
・大型カッター
・カッター
・彫刻刀
・ホットボンド
・ドライヤー
・マイクロドライプリンタ MD-5500
・LEDカラープリンタ C8800dn
・ラミネーター(A3対応)

●反省点
 元々は安価に仕上げることが前提で、ジャンクパーツとして取って置いたDCファンを活用して3,000円くらいで組み上げようという計画だったのですが、色々凝りだして結局9,000円オーバー。ここまでお金をかけるならもっとパワフルなDCファンを組み付けておけば良かったと後悔。また、当初計画ではハニカムフィルターの装着は想定していなかったので、収納時にハニカムフィルターだけ収まらないのも失敗。あとは塗装に2,000円近い出費も大きかった。
 もし後継機を作るとしたら、吸気能力を3倍以上高めたモデルを1万円くらいで作るかな。今回の工作で風量・静圧等、色々ノウハウも掴んだし、さらなる画期的アイディアも浮かんできたのでより機能的で制作期間の半減もできるでしょう。次のTYPE1xは「世界最強」を目指します。


パワーアップを図った「11式自作塗装ブース 改」計画に続く




●市販品
 今回塗装ブースを自作してみて思ったことですが、メーカーの市販品もやっぱりそれなりに考えて作られて、それほど割高ではないのかもと気づきました。作る手間暇を考えたら市販品の方が断然お安いですし。(苦笑 でも非力だけどね。

メーカー製 品 名価格(税込)
オススメ度
ファンサイズ W×H×D
(質量)
収納性
タミヤ

スプレーワーク
ペインティングブース
¥14,600

−−−−−
シロッコ
(1基)
30W
470×290×450
(2.8kg)


フード折り畳み

収納時サイズ
47×29×20

生産終了


スプレーワーク
ペインティングブースII
(ツインファン)
¥26,040

★★★★
シロッコ
(2基)
48W
400×300×530
(4.3kg)


フード折り畳み

収納時サイズ
D330


スプレーワーク
ペインティングブースII
(シングル)
¥17,640

★★−−−
シロッコ
(1基)
24W
400×300×530
(3.2kg)


フード折り畳み

収納時サイズ
D330

GSIクレオス
Mr.スーパーブース
¥18,900

★★★★
シロッコ
(1基)
31W
620×370×330
(2.4kg)


取っ手付き

エアテックス
ブラックホール
ツインファン
¥23,940

★★★−−
シロッコ
(2基)
33W
450×380×565
(7.1kg)

取っ手無し

回転台無し時
D365mm


ブラックホール
¥15,540

★★−−−
シロッコ
(1基)
16.5W/15.2W
450×380×565
(5.0kg)

取っ手無し

回転台無し時
D365mm


ブラックホール
ライトハウス
¥17,325

★★−−−
シロッコ
(1基)
23W
450×380×565
(5.3kg)

取っ手無し

回転台無し時
D365mm


ハリケーン
¥39,900

★★★−−
シロッコ
(2基)
56W/53W
510×350×220
(9.6kg)

取っ手付き

使用時は奥行き増

ウェーブ
スーパー塗装ブース
¥12,600

★★−−−
シロッコ
(1基)
15.5W
500×320×320
(2.1kg)
×

出荷停止中

プロクソン
スプレーブース
¥11,550

−−−−
(1基)
11W
590×370×375
(非公表)
×

ナカトミ
スプレーベンチレーション
SPV-75
オープン
¥4,200〜

−−−−
シロッコ
(1基)
15W
430×350×500
(1.7kg)
×

販売終了

イリイ
(輸入元)

TR-420EB
オープン
¥9,800

−−−−
プロペラ
(1基)
25W
480×420×360
(3.6kg)

フード折り畳み

収納時サイズ
42×15×24

アネスト岩田
キャンベル

まじかる☆サクショん
MX3430
¥15,750

−−−−−
プロペラ
(1基)
14W
480×340×595
(3.1kg)

フード折り畳み

収納時サイズ
42×25×26



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コメント

◎コメントは内容確認後に掲載となります。なお、責任持てないので技術的質問には原則応じていません。

1. 無題

拝見させていただきました。

よろしければLEDライトの回路図みたいのがあれば教えて下さい。

2. 無題

「11式自作塗装ブース 改」の方に再設計した回路図を掲載しました。

3. 無題

売ってください!

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あらら

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