カスタムした折り畳み小径自転車「
DAHON Dove eva」に取り付けるために開発した、運搬ハンドル機能を付加した自作シートクランプ。
「DAHON Dove eva」は軽量コンパクトで片手で持ち上げられる質量ではあるが、片手で持てるポイントが無いので結局両手持ちになってしまう。その不便さを解消する目的で発案・開発した次第。
運搬ハンドル付きシートクランプINDEX
設計図製作機能性使用工具総括 「FIAT AL-FDB140」を購入する前にサイクルベースあさひのオリジナルモデル「
LOG OUTRUNK」を買う気でいました。
LOG OUTRUNK L 真ん中に付いてる運搬ハンドルが便利そうでいいなと思っていたんですよね。「FIAT AL-FDB140」とかも軽くて片手て持てる重量ではあるんだけど、バランス的に持てるポイントが無い。それで無いのなら自分で付けてしまえって、シートクランプにハンドルを付加させてしまうアイディアを考えた。
設計図
約8kgの重量に耐える剛性と強度が絶対条件なので構造はアルミ主体とし、固定力を確実なものとするためダブルボルト仕様にする。また、運搬ハンドル機能だけじゃつまらないのでボトルゲージ取り付け機能のギミックも付けた。
設計図製作
市販のシートクランプでは改造するにしても使えないので一から自作するしかない。つまり、アルミの塊から削り出す。
アルミの塊 CNC旋盤があれば機械任せで正確に切削してくれるのだけど、そんな便利なものは持ってないので手作業で切り刻んでいきます。(手作業といっても電動工具は使います)
卓上スライド丸のこでカット。
卓上スライド丸のこで切り残した部分を手ノコでカット。
斜めにカットしてからだと穴あけが困難になるので直角の状態で必要な穴をあけておく。 締め付けボルトの雌ネジ側は締め付け時に変化するボルトの角度に対応するよう真鍮製の丸棒をセット。
穴あけが終わったら外形を整える。 ここからは自作卓上トリマーテーブルの出番。アルミも削れるコイツは重宝します。0.1mm単位で切削。
まずはフレーム外径に合うサイズに切削。
次にフレーム外径より小さく、シートポスト径より大きいサイズの穴を切削。ストンと落ちない為の土手ですね。
切削したままだとガビガビなので砥石で研磨してなめらかにする。 ケツに卓上スライド丸のこですり割りを入れればシートクランプ本体の製作はほぼ完成。
ここまでの一連の作業は順番を間違えると失敗します。
あとは運搬ハンドル部とボトルゲージ取り付け部をアルミ材で製作。加工が終わってパーツをよく研磨したら赤くアルマイト処理。
電解液に浸して通電させ酸化皮膜を生成させる。 アルマイトはM-craftが販売している「
レッツ・アルマイト」を利用。
ハンドル表面は透明アクリル板を貼り付け見栄えを良くする。
運搬ハンドル付きシートクランプ構成パーツ 組み立てて、完成!
メーカー純正アクセサリーと言っても通用する仕上がりではないかと。我ながら良く出来た。
機能性
フレームへの取り付けはジャストフィット! キツ過ぎずユル過ぎず、完璧と言えるハマり具合。
早速自転車を持ってみます。
気軽に片手で持てる。強度・剛性もバッチリ。
トップチューブ取り付けより使い勝手の良いボトルゲージ。 シートクランプ本来の性能もしっかり確保。ダブルボルト仕様で鬼門のカーボンシートポストもズリ下がること無くガッチリ固定。位置固定クランプの採用によりその位置保持能力は絶対!
上下のみならず、回転ズレも防止する位置固定クランプ。
位置固定クランプ自体がズレないようゴムを挟んで徹底的にズレを防ぐ。 位置固定クランプには後々何か付けたい時に使えるダボを後方に備えた。
ボトルを装着した図。●質量
運搬ハンドル付きシートクランプ:193.2g
位置固定クランプ:36.2g
使用工具
・卓上スライド丸のこ 日立工機
C6RSHC・自作卓上トリマーテーブル
TT-350・卓上ミニボール盤 レクソン
DP-255R改・ミニサンダ リョービ
S-555M・自作サンダテーブル
・アルマイト作業ブース
・アルマイトキット
レッツ・アルマイト・安定化電源
ALINCO DM-340MV・水性スプレー塗料
・プリンタ MD-5500
総括
たぶん、世界初の運搬ハンドル付きシートクランプ。シートクランプを自作する人もナカナカいないでしょうね。市販品があれば自分も自作しようなんて思わない。(苦笑
片手で運搬できるのはやっぱり便利。ハンドル位置や強度・剛性も問題なし。ちょっと気になったのは握り具合かな。ハンドル部のエッジがほんのちょっと痛い。まぁ、長時間持つものでもないので深刻な問題ではないけど。
クイックレバーは盗難対策として初めから使う気はないのでボルト締めでOK。仕上がり、使い勝手は良好。Litepro辺りが製品化するかも?