大変お待たせしました。やぁっと完成しました。
想定より4倍は手間がかかった。見通しが我ながら甘い。
11式、12式、13式、16式に続く自作塗装ブース第5作、22式改め23式。
23式の製作コンセプトは…
イージー!23式自作塗装ブース11式改を作ったけどあまり使ってないんですよね。模型用サイズなのでデカいものに対応できないってこともあるのですが、セッティングが面倒くさいって点も使用頻度を下げる要因になっているのです。
セッティングで面倒くさいのは排気ダクトの設置。なのでそれを無くしてしまえって発想。
ズバリ、室内排気型!!!INDEX
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室内排気 −ハイカムフィルター
−整流板フィルター
−インナーフィルター
−水着式フィルター
−活性炭フィルター
−パワーユニット
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室外排気 −室外排気口
−排気ダクト
−窓枠パネル
−窓枠パネルDCファン
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便利機能 −LED照明
−ハンドピースホルダー
−コンセントスイッチ
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室外排気パーツ専用収納ボックス・
デザイン −コンパクトボディ
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その他 −ゴム足
−把手
−親切設計
−保守
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仕様・
使用材料 −使用工具
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総評■室内排気
室内排気を実現するにはフィルター性能の向上が不可欠。フィルター性能が低いと塗装ミストを室内に撒き散らすだけになってしまう。
今まで製作した塗装ブースは「ハニカムフィルター」と「不織布フィルター」の二段フィルター構造でしたが、23式では「ハニカムフィルター」、「整流板不織布フィルター」、「インナー不織布フィルター」、ブロアファン通過後に「水着式フィルター」、「活性炭フィルター」を経る5段フィルター構造! 徹底的に塗装ミストを除去します。
●ハニカムフィルター 吸引力を落とすこと無く塗料を付着させる。GSIクレオスの
ハニカムフィルター GT03Hを流用。
GSIクレオス GT03Hそのままでは大きいので23式に合うサイズ(W434×H280)にカット。ハニカムフィルター装着の図取り外しやすいよう、余った素材でツマミを接着しておく●整流板不織布フィルター 整流板機能を持たせたフィルター。ハニカムフィルターの奥に設置。
整流板フィルター整流板フィルターカセット網はダイソーの焼き網を流用。13式、16式のものより若干薄型になりました。
不織布フィルターを挟み込むだけ。磁石で固定。本体への取り付けはスタンドに置いて上部を超強力磁石でくっつけるだけ。下部に隙間を持たせることで吸引力低下を防ぐ。
上部に超強力磁石を埋め込み●不織布インナーフィルター DCブロアファンの汚れ防止。整流板フィルターの奥に設置。不織布はマジックテープで固定。
インナーフィルターハニカムフィルター、整流板フィルター、インナーフィルターを取り外した状態。●水着式フィルター 「
小型粉塵除去装置」でも採用したフィルター。微細な塗装ミストを水に付着させる。容器の中で水が暴れるので水着率が上がる構造。動かしてみたところ、想定以上に効果が期待できそう。
水着式フィルター内部に空気の流れをスムーズにさせる構造物を設置。引き出しのように本体にセット。取り出す時は裏側の穴に指を突っ込んで押し出す。大量に水を入れるとこぼれる恐れがあるので水量は450mlくらいが適量かと。それでも飛び出す場合は水量を減らしてください。
水に少し中性洗剤を混ぜておくと汚れが付着しにくくなり、泡立つことでさらに塗装ミストを付着させやすくなる。
作業後は水を必ず廃棄してください。
●活性炭フィルター 最終フィルター。活性炭を含んだフィルターによって臭気を吸収。不織布フィルターとのハイブリット構造。吸引力を高めたい場合は不織布フィルターの濃度を下げて下さい。
活性炭フィルター長持ちさせるため、活性炭フィルターは不織布の上に配置。活性炭は不織布から取り出さないでください。ボロボロ剥がれて炭を部屋に撒き散らすことになります。
取り換え用の活性炭フィルターを同梱。なお、23式の活性炭フィルターだけで臭気を完全に除去するのは難しいので市販の空気清浄機の併用を推奨します。
●パワーユニット●超強力DCブロアファン パワーユニットには静圧性能が高い大型DCブロアファンを採用。13式で使った超強力DCファンに風量では敵いませんが、複雑な排気経路でも確実に押し出す性能を持っています。室内排気には軸流ファンよりブロアファンの方が向いている。コイツを2基装備。
メインブロアファンナカナカパワフル。駆動音も大きくないので塗装ブースに最適!
内部構造超強力DCブロアファン SanAce B150「超強力DCブロアファン」は
あららStoerで販売中。
●内蔵補機DCファン 補機として装備。騒音対策としてそこそこの性能のものをチョイス。なお、将来のハイパワー化に対応できるよう38mm厚のファンも装着できる設計にしています。
内蔵補機ファン排気風を4方向に指向できる。磁石で固定。
排気風指向ボックス室内排気時はティッシュ吸い付きテスト20枚ほど。
動作音はスマホの簡易騒音計測アプリで56dBほど。塗装ブースとしては静かな部類ではないかと思います。11式改、13式より静か。
55.4dB。塗装時は本体と下蓋の間に隙間があるので作業スペースにコピー用紙等を敷いてください。
※室内排気はエアーブラシ塗装時に限定。缶スプレー塗装の場合は可燃性のガスが部屋に充満してしまうので使えません。火をつけたら部屋が爆発します。エアーブラシ塗装時も大事を取って換気はしてください。
■室外排気
当然、缶スプレー塗装もできるよう、室外排気型として使用することも可能な作りになっています。
室外排気の場合はフィルター性能もそこそこあればいいので排気経路をショートカット。「水着式フィルター」、「活性炭フィルター」は通さず排出能力が高い状態で排気させる。
・室外排気口DCブロアファンからダイレクトに排気できるレイアウトにして高い排出能力を実現。
室外排気口・排気ダクト丸いダクトを四角い排出口に接続できるようオリジナルの接続アダプターを製作。「アポロ13号」という映画でもこんなシーンがありましたね、丸い物と四角い物を無理やり接続させる場面。互換性の大切さがNASAの教訓になったようです。
排気ダクトアルミダクト部分は約36cm。3倍ほど伸びるので1mくらいの距離に対応。それ以上長さが必要な場合はホームセンターで中継ぎパイプとアルミダクトをお買い求め下さい。
排気ダクトを本体から取り外す時はアルミダクトではなく黒いジョイント部分を持って引き抜いてください。アルミダクトを持って引っ張るとジョイントからスッポ抜けます。(汗
アルミダクトを何度も伸縮していると穴が空いてきます。アルミダクトは消耗品と考えてください。それで、丸いアルミダクトを四角形に変形させる必要が生じるのですが、適当に曲げても上手くいきません。(経験談) そこで折り曲げるための治具を用意しました。
同梱した木片はゴミじゃないので捨てないでください。(苦笑・窓枠パネル今までの窓枠パネルは木材や樹脂製のアルミ複合板で製作していましたが、23式では発泡素材のアルミ複合板を採用。強度を保ちつつ軽量化を実現させました。コンパクトに収納できる折りたたみ式。
窓枠パネル→外側から見た窓枠パネル窓枠への設置はガラス戸を入れる要領。上部をハメ込んでから下部をレールに乗せる。
窓枠パネル(折りたたみ時)DCファンの設置も引っ掛けて磁石で固定するだけ。
上部のアルミ部分をパネルの出っ張りに引っ掛ける。ちゃんと引っかかって磁石で固定されているか確認してください。
補機は室内排気のDCファンより強力なものを採用。室外排気時は排出能力重視の設計。
窓枠パネル用DCファン接続は付属のDCコードを用いる。室外排気スタイル※注:オーナーさんとは設置環境が違うので窓枠パネルのサイズが合ってません。
セッティングに工具は一切不要。
室外排気時はティッシュ吸い付きテスト50枚ほど。ナカナカ強力です。
●便利機能
●LED照明照明は当然標準装備。今回は砲弾型LEDではなくパワーLEDを採用。色温度はおおよそ6500K。本当は自然光に近い5500Kのものを使いたかったんですが、入手が意外と…
LED照明パワーLED光拡散板を使って光をまんべんなく拡散。照度は最高値で5,000lxほど。
5,000lxは最高値。計測位置をちょっとズラすと3,000lxくらいになります。上蓋はLED照明ユニットに引っ掛けて固定します。
LED照明ユニットを目一杯引っ張り出す。バッチン錠をLED照明ユニットに押し込む。バッチン錠のフックをLED照明ユニットの冷却フィンに引っ掛けて固定。●ハンドピースホルダー16式で装備したものと同じ。コイツはオーナーさんの要望で取り付けました。カップがキッチリ水平になる状態でホールド。LED照明ユニットの両端に装備。
ハンドピースホルダーLED照明ユニットを本体に収納する時はハンドピースホルダーを水平にしてください。斜めっていると引っかかって奥まで入りません。
●コンセントスイッチコンプレッサーの電源ON/OFFを塗装ブース側で操作できるようにスイッチ付きコンセントを装備。パイロットランプ付き。
スイッチ付きコンセント左からパネルファン、LED照明、コンセント、メインファンスイッチ。スイッチは操作しやすい上部右側に配置。
パネルファンは敢えて独立してON/OFFする設定にしました。というのも、室内排気時に換気扇として使えるようにとの考え。
●室外排気パーツ専用収納ボックスオーダーには当初含まれていなかったど、事情により製作することになりました。(苦笑;;;
本体と共に収納しやすいよう塗装ブース本体と同じ幅、奥行きのサイズで設計。
13式や16式のようにパーツを本体に収納する作りにしなかったので本体をコンパクトにできました。また、室内排気時に本体からパーツを取り出す手間も省ける。
室外排気パーツ専用収納ボックス室外排気用ダクト、窓枠パネル、窓枠パネルDCファン、風向変更ボックス等を収納。フタを開けるときはパッチン錠を解錠してから把手穴に指を突っ込んでフタを持ち上げてください。
把手穴に指を突っ込む。本体と幅、奥行きを合わせることで収納性を高めた。●デザイン
基本的に13式、16式と同じ流れのデザインですね。収納に都合の良いスクエア形状。極力シンプルさを指向。
ブラックとシルバーの落ち着いたモノトーン調。●コンパクトボディどこでも設置できるように奥行きを極限まで詰めました。200mmを切る198mm(突起物除く)!
超強力DCブロアファンがあったればこそ実現した薄さ。
あらら史上最薄!実はネジの見え方にも拘っています。本来なら皿ネジを使うところですが、敢えてナベネジを埋め込み。
皿ネジよりこっちの方がなんかカッコイイ。(笑目立つ所にはナベネジではなくちょっとオシャレなトラスネジをチョイス。活性炭フィルターケースのツマミは質感の高いアルミ製。あららオリジナル。下蓋にはロゴマークバッチを貼付。銘板ステッカー。強度が必要な箇所にはアルミ材を使用。
●その他
●ゴム足23式には振動吸収性に優れた構造のゴム足。通常の合成ゴムより柔軟性に優れた素材を使いました。
振動吸収性に優れたゴム足。●把手把手は必須装備。コイツがないと持ち運びが大変。
把手。●親切設計各フィルターにはフィルターサイズを表記したシールを貼付。フィルター交換時にサイズを測る手間が省ける。
フィルター寸法が一目瞭然!水着式フィルターボックスには目盛りシール。●保守メンテや故障時に備えて部品交換ができる作りにしています。フィルターも100均のレンジフードフィルター使用がメインなのでランニングコストに優れる。
使用後は電源プラグをコンセントから引き抜いておいてください。
●仕 様電 源:AC100V 50-60Hz
消費電力:60W43.52
最大風量:4.0m3/min(141.2CFM)
最大静圧:420.0Pa
回転数:2,700rpm
音圧レベル:56dB
サイズ:W548×H339×D198(収納時)
W548×H339×D417(展開時)
質 量:約10kg
●使用材料・MDFボード 9mm厚
・MDFボード 5.5mm厚
・MDFボード 4mm厚
・MDFボード 2.5mm厚
・塩ビ板(白) 1mm厚
・アクリル板(透明) 1.5mm厚
・アルミ複合板
・各種アルミ材
・ピアノ線 φ1.5mm
・超強力DCファンブロア 24V 0.74A 2基
・80mm角DCファン 12V 1.2A
・80mm角DCファン 12V 0.65A
・ACアダプタ 24V
・電源コード
・降圧回路
・パワーLED
・ロッカースイッチ
・DCジャック
・インレット
・アウトレット
・アルミダクト φ75
・クーラーキャップ φ75
・パッチン錠
・超強力マグネット
・蝶番
・各種ネジ類
・ハニカムフィルター
・不織布フィルター
・活性炭フィルター
・カッティングシート
・クリアデカール
●使用工具・スライド丸ノコ
日立工機 C6RSHC・テーブルソー 14式中型自作テーブルソー
・テーブルソー プロクソン スーパーサーキュラソウテーブル28070 改
・テーブルソー プロクソン ミニサーキュラソウテーブル28006 改
・トリマーテーブル
・卓上ボール盤
レクソン DP2250R・ドリルドライバ
日立工機 DS10DAL・ドリルドライバ
日立工機 DS10DFL・インパクトドライバ
日立工機 WH14DDL・ホットガン
リョービ HAG-1551・ハンダコテ goot PX-201
・+ドライバー #0、#1、#2
・電工ペンチ フジ矢
・ワイヤーストリッパー
エンジニア PA-06・ハンダコテ good
・ピンバイス
・彫刻刀
・鉄工用ノコギリ
・鉄工用ヤスリ
・木工用ヤスリ
・ペーパーヤスリ
・六角レンチ
・レンチ
・各種クランプ
・ノギス
ミツトヨ CD-15PSX・コンベックス
タジマ Gロック-13・木工用ボンド
・万能ボンド
ボンド ウルトラ多用途S・U(クリヤー)120ml・
ボンド G17 速乾強力 170ml・両面テープ
・墨汁
・塗料 油性ニス
・塗料 ラッカー
・パソコン Apple Mac Pro
・パソコン Apple iBook G3
・プリンタ ALPS MD-5500
・プリンタ OKIデータ C811dn
・ラミネーター
■総 評自分は面倒くさいことが大嫌いです。洗車のために
ケルシャーの高圧洗浄機を入手したのですが、コイツを使うにはケルシャー本体と水道ホースと延長電源ケーブルを持ってきて、水道ホースを蛇口と本体に繋げて、本体に高圧ホースとトリガーガンとノズルを繋げ、最後に電源コードを繋げる。そして電源をON。う~ん、面倒くさい!オマケに本体のモーター駆動音も耳障り。一度使ったきりで倉庫の肥やしとなりました。洗車に高圧水流必要ない。結局、水道ホースと散水ノズルを新たに購入してそっちを使ってます。水道ホースを蛇口に差し込むだけで使える!
つまり、いくら性能が良くても使い勝手が悪い物は結局使い物にならないのです!エアテックスから「
ナイアガラ」という新しい塗装ブースがリリースされていましたが、アレは微妙ですね。(他社からのOEM?) 性能はともかく、セッティングと後始末がムチャクチャ面倒くさそう。企画・設計した人は自分で使いたいと思える塗装ブースなのでしょうか。アイディア的には有りかもしれないけど、もう少し使い勝手は良くしないと…。
ネロブースは塗装ブースの一つの完成形だと思います。据え置きができるユーザーなら購入の価値あり。据え置きができない人はちょっと…。
…ということで、あららが新たに設計したのが今回の「23式自作塗装ブース」。塗りたいと思ったら即塗装作業に入れる手軽さを重視。エアーブラシ塗装であれば排気ダクト設置が不要。窓のない部屋でも塗装ができる! フィルターの交換も簡単。室内排気をここまで徹底して考えた塗装ブースもナカナカ無いでしょう。あらら完全オリジナル設計。
性能も想定以上に高く、駆動音は想定より低かった。超強力DCブロアファン、塗装ブース用途に最適!
ただ残念な点は、想定より重かった! なんだこの質量。10kgはちょっと重いでしょ。こんなに重くなるなら軽量化も考えて設計すべきだった…orz。
まぁ、トータル的に見れば十分納得できる出来。DIY用にサイズをデカくした23式を自分用に作ろうかな。あまり重くないヤツ。(笑
「23式自作塗装ブース」の得点、92点。