キッチンワゴン やっと完成しました。
自作キッチンワゴン もっと簡単に作れると思っていましたが、予想以上にかかってしまった…
今回のキッチンワゴンは料理運搬を目的としたもの。業務用で言うところの
サービスワゴンの小型版といったところでしょうか。
キッチンワゴンなんて市販品がいっぱいあるけど、どれもイマイチで琴線に触れない。
イマイチ… なんか作りが安っぽいというか、キャスターに小さいプラスチック製を使っていて振動吸収性がまったく考慮されていなかったり、使い勝手が悪そうだったり…。ホテルなどで使われているステンレス製のサービスワゴンもゴツ過ぎてダメ。
こーゆーレストランで使われているような木製の重厚なタイプも雰囲気的にいいですけどね。ただ、今回の用途には不向き。
ということで、自作です。旅館などで使われているような和風チックな情緒あるデザインを志向してみる。
自作キッチンワゴンの特徴は以下の通り。
●
取り外し式トレー(脇取盆)●
高剛性フレーム●
振動吸収構造●
ストッパースタンド●
デザイン●
その他設計図
ちょっと大きいお盆と補助お盆の設置と、最下段に
2.2Lのポットが置けるスペース、そして振動吸収性能。これらの条件をを満たしつつ家の中で使いやすいサイズを模索。
フレームはアルミ材を使用。木材だと剛性を高くしようとすると太くなってしまいコンパクト性が損なわれるので木製フレームは見送った。
ハンドルはワゴン本体からちょっと離して足にぶつからないようにした。ちょこちょこ歩くのはうざったい。
今回のキッチンワゴン最大の特徴とも言えるのが取り外し式のトレー(脇取盆)です。
キッチンワゴン専用脇取盆※脇取盆(わきとりぼん)とは…飲食店や旅館などで料理を運ぶ大きめのお盆。木製の和風タイプと金属製の欧風タイプものがある。
サイズはトップトレーが540mm×340mm。セカンドトレーが400mm×340mm。
通常のキッチンワゴンは天板がフレームに固定されていて、その上にお盆や皿を置きますが、本キッチンワゴンは天板そのものをお盆として使えるようにして利便性を高めました。上部のトップトレーが取り外すせるのでセカンドトレーへのアクセスも容易となる。
セカンドトレーへのアクセスが容易となる設計。 フレームの一部を設置しない構造にしてセカンドトレーの出し入れをしやすくしている。
トレーがなくてもワゴンとして使えるよう、板を設置。運搬中にズレないよう脇取盆の底にズレ防止の出っ張りを取り付け。 フレームにアルミ材を使用。前後のフレーム枠内に2mm厚アルミ板4枚をジョイントに使いスマートに剛性を確保。その前後フレーム枠をプレートで接続することで業務用サービスワゴンに匹敵する高剛性を実現しました。
軽量高剛性アルミフレーム なんか大学の研究室にある自作装置を組み込んでいるフレームのような無骨さ。(苦笑 剛性を出そうとしたらおのずとこんな感じになりますね。自分としたら嫌いじゃないけど、キッチンワゴンぽくはないかも。
プレートで接続することで剛性アップ。 精度も0.1mm単位で組み立てたのでプロ仕様に匹敵するクオリティを実現。精度の高さは安定性の高さに直結します。
・目の字形状フレーム よくあるロの字形状では応力によって歪みが生じやすいが、内側にパイプを配置することで剛性がアップし歪みを抑えることができる。バイクにも目の字断面アルミフレームというものがありました。
目の字形状フレーム。上から見た状態。ロの字形状だと歪みやすい。 あとはセカンドトレー部分と底に板を設置してさらに歪みを低減。
ピッタリサイズの板をフレームにハメ込んだ上でネジ留めすることにより剛性が大幅アップ。 一般ご家庭用ではあり得ないレベルの高剛性・高精度フレームです。
ムフー
運搬時にカタカタガタガタするのは嫌なので振動吸収性能を付加。業務用ではない一般ご家庭向け製品にはまず無い機能です。
●キャスター まず硬いプラスチック製のキャスターを使っている時点で市販品はダメダメですね。振動をダイレクトに伝えるし、フローリングもキズつけやすい。
市販品に広く採用されているプラスチック製のキャスター。見た目はスマートだけど、肝心の性能はまったくダメ。 自作キッチンワゴンではウレタン製のキャスターを採用。当初計画ではゴム製キャスターを考えていましたが、フローリングへのダメージがより少ないウレタン製にした次第。車輪径50mmとちょっと大きいサイズにして始動抵抗の低減を図った。ボールベアリングと相まって動きが非常に滑らか♪
●防振パッド キャスターと底板の間に防振パッドを挟み込んで振動を吸収。防振パッドが効くように取り付けネジの締め付けを若干緩く設定。
ウレタン製のキャスターと防振パッド。
赤く点滅しているのが防振パッド。3mm厚のものを二枚重ねで配置。 ネジの締め付けが弱いとナットは簡単に脱落するので、ここには弛み止めナットを使うことでナット脱落を防止。
●ゴム板 フレームとトレー(脇取盆)の間には3mm厚のゴム板を設置して振動が脇取盆に伝わるのを抑えます。
3mm厚ゴム板。想定より効果有り! まったくカタカタしない。 以前、NHKの「凄ワザ!」って番組で振動吸収性能を競った台車対決がありましたね。
キャスターにもストッパー機能が付いていますが、硬くて素足だと使いにくいのでストッパースタンドを独自開発しました。
ストッパースタンド。固定時(右)。 ちょっと斜めになりますが、キャスターを地面から離すことで確実に固定します。安定性も抜群。
ストッパー機能装備のキャスター。前後に1つづつ設置。 デザインに拘るのはあららの特徴。格好良いものは正義。
●トレー(脇取盆) とりあえず、トレー(
脇取盆)を旅館で使っているような高級感のあるものにします。旅館のお盆ってなんか雰囲気があっていいですよねー。
キッチンワゴン専用脇取盆。黒と朱に着色。デザインはシンプルに。 大皿も乗せられるように中央部分のフェンスを低くしました。こーゆーデザインは市販品にもナカナカありません。あららオリジナル意匠。
市販の脇取盆。 塗料は和信ペイントの
油性工芸うるしをチョイス。ノビがあって塗りやすく、艶やかな仕上がりになります。扱いがちょっと面倒だけど。
和信ペイント 油性工芸うるし 油性工芸うるしを塗ったら
二液ウレタンスプレーで強固な塗膜を形成。塗装を十分に乾燥させてから紙ヤスリと3Mの
スポンジ研磨材で平滑にし、
コンパウンドで磨く。磨く。磨く。仕上げにワックスをかけて完成。この作業はホントに手間が掛かって疲れた。
●ワゴン本体ワゴン本体 無骨なアルミフレームのワゴンですが、ちょっと洒落っ気も欲しいのでハンドル回りにプレートを取り付けてドレスアップしました。トレーと同じ配色にして一体感を演出。
飾りプレートは転んでぶつけても大ケガにならないようクッションの役割も持たせている。皿ネジではなく敢えてナベネジを埋め込むことで見た目をカッコ良くする。ステッカーチューン。ステッカーを貼ることで製品っぽくする。 ワゴンの前後に取り付けた細いアルミパイプはフェンスではなくフキンを掛けらるように設置した。
ふきん掛け。 ハンドルはステンレスやアルミ材などの金属製が高い質感を演出できて良いかなとも考えたけど、金属は真冬に触りたくないので実用性重視で木製にしました。
木製ハンドル。低重心に一役買っている底板の13mm厚MDFボード。●仕様・材質:アルミ、MDFボード、アガチス、桧
・キャスター:ユーエイキャスター
G-50URSZ・寸法(ワゴン本体):W645×D350×H807mm
(トップトレー):W540×D340×H45mm
(セカンドトレー):W400×D340×H45mm
・質量:約9.0kg(トレー含む)
●材料・アルミ不等辺角パイプ 15×20×2000 3本
・アルミ不等辺角パイプ 15×20×1000 1本
・アルミ不等辺角パイプ 10×15×1000 1本
・アルミ平板 50×2000 1本
・アルミ平板 40×2000 1本
・アルミ平板 30×2000 1本
・アルミアングル 20×20×1000
・アルミ丸パイプ φ7×1000
・ステンレス丸パイプ φ9.5×1000
・MDFボード 1820×910×5.5 1.2枚
・MDFボード 1820×910×9 1/8枚
・MDFボード 1820×910×2.5 1/8枚
・アルミ複合板 1820×910×3 1/8枚
・キャスター ウレタンφ50mm 2個
・キャスター ウレタンφ50mm(ストッパー付) 2個
・バネ 1×8×76 2本
・皿小ねじ 小頭 M4×30 2本
・皿小ねじ M6×25 16本
・トラス小ねじ M4×20 10本
・六角穴付きボルト M4×30 12本
・六角穴付きボルト M5×30 2本
・ナット M4 16本
・弛み止めナット M6(4個入り) 4袋
・オニ目ナット M5(6個入り) 1袋
・オニ目ナット M6(4個入り) 1袋
・丸棒φ28×600mm 1本
・木材 ラワン材 14×60×910 2本
・木材 桧材 9×40×910 1本
・木材 桧材 9×40×600 1本
・木材 桧材 9×45×600 1本
・木材 メルクシパイン集成材
・防振パッド 2袋
・ゴム板 3mm厚
・ゴム板 1mm厚
・接着剤 コニシ 木工用ボンド速乾 750ml
・接着剤 フランクリン タイトボンドIII 16oz 473ml
・接着剤 コニシ ウルトラ多用途S・U 170ml
・ワシン工芸うるし 200ml(黒) 1缶
・ワシン工芸うるし 200ml(鎌倉赤) 1缶
・ワシン工芸うるし 200ml(ネオクリヤー) 1缶
・ニス ワシン クリア0.7L
・2液ウレタンスプレー クリヤー
・ラッカースプレー ブラック300ml
・墨汁 300ml
・デカール 1枚
・ワックス ソフト99 光鏡面WAX
●使用工具・卓上スライド丸ノコ 日立工機
C6RSHC・テーブルソー
14式中型自作テーブルソー・テーブルソー プロクソン
スーパーサーキュラーソーテーブル No.28070改・テーブルソー プロクソン
ミニサーキュラーソーテーブル No.28006改・卓上ボール盤 レクソン
DP2250R改・インパクトドライバ 日立工機 WH14DDL
・ドライバドリル 日立工機
DS10DAL・ドライバドリル 日立工機
DS10DFL・トリマ リョービ
TRE-60V・サンダ リョービ
S-555M・ドリルガイド 神沢
K-801・+ドライバー #1
・ハンマー KTC
・ハンマー TONE
コンビネーションハンマー BHC05・ノコギリ タミヤ
薄刃クラフトのこ 74024・
Cクランプ・
ハンドクランプ・千枚通し
・木工用ヤスリ
・金工ヤスリ
・紙ヤスリ
・スポンジ研磨材
●総括
点数をつけるとしたら89点。ちょっと失敗はしたけど、軽量高剛性フレームと振動吸収機能、旋回性の良い50mmのウレタンキャスター、取り回しやすいサイズ、低重心設計による安定感、上品な専用脇取盆、使い勝手の良さと、一般ご家庭用キッチンワゴンとしてナカナカのものではないかと自画自賛。(笑 まぁ、アルミフレームの無骨な感じが若干引っかかりますが…
工作精度は0.1mm単位なので安物のようにキャスターが1箇所浮いてるなんてマヌケな状態にはなっていません。精度が低いとそれだけで余計な振動が発生しますからね。ここが安物との決定的な違い。
材料費は14,000円くらい。今回のキッチンワゴン、家族も満足のようです。