ドリルやフライスなどの金属加工時に材料や切削刃に切削油をつけるのは常識です。油を付けることで余計な摩擦を抑制し、スムーズな動きを促進。金属の温度上昇を抑えることで切削性能を維持させます。金属は高温になると柔らかくなり切削能力が落ちるのです。
だがしかし、切削油も油。ある条件下になると、燃えます。
切削スプレーオイル 特に火花が出る鉄材の切断では危険度増大。
チップソーに切削油を付けた方が良いのか、悪いのか、ここで白黒つけたいと思う。
鉄鋼用チップソー ネット検索して調べてみたのですが、意外にもあまり該当する記事がありません。そんな中で見つけたのがハイコーキのチップソー切断機「CD12F」取説での一節。
ハッキリ切削油は付けるなとの注意書き。リョービの取説でも同様の記載。 マキタの取説にはそのような記載は無し。
こういうことは専門家に聞くのが一番。ということで、チップソーメーカー2社に質問してみました。
C社曰く、今まで発火事故の報告は皆無。切削油は有効。クルマに使うワックスも効果的との回答。
Y社は、発火の危険があるから切削油の塗布はダメ。ついでに
「油で滑ってしまい正常な切断ができない」「材料が油で汚れてしまう」。
え…? 油で滑るって何が? 金属加工時に油汚れを気にする人なんているんですか? さらに、「回転が遅い場合には多少効果があるとは思いますが回転が速い商品なので効果があまりないです。」との回答も。アルミ切断では同じ回転数でフツーに油付けて切ってますが…。電動工具メーカーも切削油の塗布を推奨しています。
せっかく回答してもらったのになんですが、内容があまりにもトンチンカンなのでY社は無視することにしました。
なんかハッキリしないので他業種の方にも訊いてみた。
切削油も販売しているケミカルメーカーA社。切削油は有効。ただし、スプレー製品はエアゾールガス(可燃ガス)を使用しているので切断時での吹きつけは厳禁。通気の良い火気の無い所での使用を勧めるとのこと。
もう一社はプライベートブランドでチップソーも売っている販売大手のM社。回答はA社とほぼ同様。切削油の使用は問題無いと明言。
ということで、結論。
鉄鋼用チップソーで鉄材切断に切削油は有効。 ただし、発火の危険がまったく無いとは断言できないので万一に備え近くに可燃物は置かないようにし、消火装置も用意する。ちなみに、油火災に水をかけてはいけません。油がはじけて火の海となります。油火災には二酸化炭素や窒素を利用した消化器を使用してください。酸素の遮断が肝要。
スプレー式の消化器は汚れも残らずお手軽。 まぁ、今まで切削油を付けて鉄材を切っていたけど切削油に引火したことは一度もありません。集じん袋は焦がしたことあるけど。
あと、ミスト状になると発火しやすくなるようです。