やぁっと記事アップしました。数ヶ月前にモノは完成はしていたんですけどね…。押し出し式の
11式と吸い出し式の
12式の特性を併せ持つ新型塗装ブース。
13式は機能性・デザイン性・収納性の3つを高い次元で具現化することを目指しました。本体に内蔵したDCファンがカッチョイイと思います。
【機能性】●ファンの配置 塗装ブースで一番重要となるのはファンの配置ですね。13式では12式で採用した超強力DCファンを押し出し用として塗装ブース本体に組み込み、窓枠パネル側に吸い出し用の補機ファンを取り付けるタンデムツインファン構造にしました。
塗装ブース本体にメインファンを設置することで距離的なロスを無くし、ファンの吸気力を存分に発揮します。しかし、押し出し型は吹き返しのデメリットがあるのも事実。13式も多分に漏れずメインファン1機だけではファン本来の性能を発揮できません。そこで別に吸い出し用のファンを窓枠パネルに設置することで吹き返しの問題を解決。これがあらら自慢のタンデムツインファンシステムです。v
●採用したDCファン メインファンには高品質な日本製の超強力DCファンを採用。20cm級換気扇と比べ風量は同等、静圧性能は6〜7倍あるので塗装ブースの用途に適しています。
静圧とは空気を送り出す力のことで、これが強いと安定した空気の排出が可能となります。機密性の高いマンションや風当たりの強い場所などでは特に静圧の高さが重要になります。
超強力なDCファン。高い静圧で塗装ミストを押し出します。比較的コンパクトなので無理なく本体に内蔵できる。 補機DCファンはT&T社製の12cm角強力DCファンを採用。こちらも定格入力16.8Wとナカナカ強力。
窓枠パネルにワンタッチで取り付けられる構造。・一般換気扇(羽根径20cm)との比較 | 東芝 VFM-20H2 | 超強力DCファン172 | 強力DCファン120 |
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同率縮小比較 | | | |
サイズ(W×H×D) | 300×320×149 | φ172×51 | 120×120×38 |
消費電力 | 21.5W | 31.2W | 16.8W |
最大風量 | 504m3/h | 510m3/h | 303m3/h |
最大静圧 | 33Pa | 243Pa | 87.7Pa |
音圧レベル | 32dB | 55dB | 51.5dB |
重量 | 2.1kg | 780g | 220g |
実売価格 | 7,010円〜 | 7,900円 | 1,400円
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・配線図 配線は小学生にも理解できるほど非常に簡単です。なお、DCファンは絶対に直列接続しないでください。故障します。
不慣れな素人さんにも理解しやすいように描きました。13式で採用したDCファンのネット通販を始めました。→【あららStore】(完売)
Digi-Key ElectronicsでDCファン販売中。
●塗装ブース本体 塗装ブース本体は12式と同じMDFボード製。ただし、軽量化のため薄い板にしました。12式は頑丈過ぎた。(苦笑 MDFボードは比較的安価な上、加工が容易なので初心者にも扱いやすいと思います。本体内部にACアダプター内蔵。
MDFボードは
島忠や
ドイト、
ビバホーム等のホームセンターの木材コーナーで売っています。ショップで
加工サービス(有料)をしているので利用するといいでしょう。
接着は普通の木工用ボンドでガッチリくっつきます。100円ショップの物でも全然OK。彫刻刀で簡単にガシガシ削れるのでスイッチの取り付け穴や取っ手穴など自分で空けることもできます。「13式自作塗装ブース設計図」を
【あららStore】で販売中。設計に3ヶ月以上費やした力作です。(笑
コンパクト設計
メインファンを天井に設置し、上方に排気することで奥行きを減らしました。狭い机でも無理なく置くことができます。
奥行きは展開時493mm。収納時は287mm。
よくある収納ケースに換気扇を設置した自作塗装ブース。20cm級換気扇を後方に配置した場合、作業スペースを10cmとしても最低奥行き666mmは必要。ただし、ダクトを折り曲げた場合は激しい吹き返しが発生して吸気力が著しく低下するため、実用的とは言えません。
吹き返しの少ない構造
市販の塗装ブースはファンの前以外吹き返しが発生しやすい構造になっていますが、13式は奥に設置した誘導板により広い範囲で塗装ミストを上方向に誘導し、超強力ファンで根こそぎ吸い出します。
12式と同様に、スブレー缶のような風圧の高い塗装作業でより高い効果を発揮します。
フィルター
フィルターはハニカムフィルターとペーパーフィルターの二段構え。ハニカムフィルターはGSIクレオスのMr.スーパーブース用 ハニカムフィルター GT-03Hを流用。そのままではデカくて13式にはセットできないので475mm×250mmにカットします。
横はカッターでカット。縦は手でパリパリ剥がします。
ハニカムフィルターの裏にペーパーフィルターを貼り付けた塗装ブースを作っている方もいるようですが、あれは色々問題があると思います。空気透過率の高いハニカムフィルターは吹き返し防止の役割がありますが、空気透過率の悪いペーパーフィルターを前面に貼り付けてしまってはそこで吹き返しが発生してしまいます。ハニカムフィルターとペーパーフィルターはある程度の間隔を空け、風圧を軽減させるよう空気が停滞できるスペースを確保し吹き返し防止を図るべきと考えます。
ペーパーフィルターはDCファンの至近に設置。パワーロスを防ぐためにもペーパーフィルターは絶対にファンの近くに取り付けましょう!
100円ショップのキャンドゥで売っていた46×150cmの換気扇用ペーパーフィルター。
270mm×170mmにカットします。1枚のペーパーフィルターから13枚切り出せてお徳。
ダイソーで売っていた焼き網を蝶番で繋げてペーパーフィルターカセットを作り、ペーパーフィルターを挟み込むようにします。ペーパーフィルターは頻繁に交換することになるので、交換のしやすさはとても重要だと考えます。市販品のメンテナンス性はイマイチじゃないかな。
ペーパーフィルターの取り付けは挟むだけ
12式ペーパーフィルターとの比較
約1.7倍の面積になり、目詰まりまでの時間を延長。
LED照明
50000mcdの超高輝度LEDを48球使用した、一般的なデスクライトと同等以上の明るい照明を設置。なるべく光源が手前にくるように上蓋側に取り付けました。(本体に直付けした方が工作的にズッと楽なんですが、頑張りました。(笑) なお、DCファンとは非連動なので使い勝手が良い。
明るいLED照明の設置で塗装状況が一目瞭然。
・光拡散板
LEDは基本的に指向性が強いので広い範囲を照らすのに不向きな光源といえます。そこで13式ではカバーに光拡散板を用いることでその問題をクリアしました。光拡散板とは、液晶テレビのバックライトにも使われているものです。
カバーに光拡散板を使うことでまんべんなく照らすことができる。
LED照明ユニットも【あららStore】で販売開始!(販売停止中)
●窓枠パネル 市販品で例外なく問題になるのはホースの排出口でしょう。ホースを外に出すには窓を開けなくてはなりませんが、真夏や真冬だと少しでも窓を開けようものなら快適性を大きく損なうこと間違いありません。GSIクレオスから
排気口アタッチメントも販売されていますが、完璧とは言えません。
そこで窓枠に設置するパネルの登場です。11式、12式でも作りましたが、13式では素材と構造をグレードアップ!
耐水性のアルミ複合板を利用した4分割窓枠パネル。幅は最小サイズの設計。 素材には耐水性に優れ、強度もあるアルミ複合板を採用。4分割にし、
蝶番で繋いで折り畳み構造にしました。パネルの固定は固定板を
パッチン錠で留めることにし、一体式を実現。おまけに座卓用のアルミダクト取り付け口と、高さ調整機能も用意しました。窓枠左用の設計ですが、高さ調整すれば裏返して右にも設置できる、と思います。
※アルミ複合板は耐水性の高い素材ですが、窓枠パネルは耐水構造になっていないので雨天時には使用しないで下さい。
12式の窓枠パネルは取り外し式のジョイントボードや、木材を使ったことで強度を高めるため三層構造にするなど固定方法や重量的な問題がありましたが、13式窓枠パネルではそれらの弱点をクリア。
設置した状態。アプティも万歳して大喜び。(笑
オーナーさんの窓枠とは高さが違うので少し空いてます。無骨な感じがカッコイイと思う。外から見た状態 窓枠への取り付けは、サッシと同じように上に持ち上げて上のミゾを差し込み、次に下をミゾに入れ、最後に左側面のミゾに差し込みます。サッシを閉めて窓枠パネルを挟み込めばシッカリ固定されます。
このようにシッカリ奥までミゾに差し込んでください! これ重要!・補機DCファンの取り付け 補機DCファンの窓枠パネルへの取り付けは4つの穴に差し込んで下にロックするだけ。サッシ枠にパネルを固定させてから取り付けてください。あとはアルミダクトとRCAコードを接続します。
ファンを取り外し式にして窓枠パネルの収納性を向上。 蝶番は肉厚のある丈夫なステンレス製をチョイス。ただし、折り畳み状態では連結部の強度があまりないので無理な力を加えないように注意してください。また、パッチン錠はスチール製なので水に濡れないようにしてください。
アルミ複合板も【あららStore】で販売しています。(販売停止中)
【デザイン性】 13式はとにかくデザインに拘りました。筐体の塗装はもちろん、本体前面のフタは12式のような取り外し式ではなく蝶番を利用した天地観音開きにしました。これが意外と寸法的にシビアで、閉じたときに上下がピッタリ合うようにするのにちょい苦労。上蓋は任意の角度を保持できる
トルクヒンジを採用。
上下扉の合わせ面にアルミ材を接着して高級感を演出。パッチン錠はホームセンターではナカナカ丁度良い大きさと好みのデザインがなかったのでネットショップで購入。選りすぐった部材をチョイスしています。 ネジの見え方にも拘っていますよ。ナベネジや皿ネジの使い分けはもちろん、フタを留めるネジには
組ネジを使いました。ネジだけでも数千円かかってます。
窓枠パネルも質感高く仕上がったんじゃないかと思います。組み立てた状態も強度がそこそこありナカナカカッコイイ。
・マーキング 本体等にオリジナルデカールによるマーキング。例の如くマイクロドライプリンタでデカールを制作しました。オーナーさんのご要望により今回もマシーネンクリーガー。
デカールを貼り付けるとホントに引き締まります。※デカールだけの制作も【あららStore】で承っています。(販売終了)
・利便性 デザイン性を重視してはいますが、強度や故障時の修理のしやすさも十二分に考慮した作りになっています。DCファンやスイッチ、LED照明が故障しても無理なく交換可能。
スイッチは12式と同様、ファンとLED照明を別々に使えるように2系統にして2つ取り付けました。また、スイッチ操作をしやすいように12式より手前に配置。それと本体サイドに取っ手用の穴を空けました。
とっても便利な取っ手。 本体左にはスペースが空いていたので小物入れを設置。交換用のペーパーフィルターなどを入れておくといいでしょう。
小物入れはちょっと便利なんじゃないかと思う。フタは磁石で固定。 塗装エリア内は白いアクリル板と塩ビ板、カッティングシートを貼り付け明るくするとともに、プラカラーの汚れを拭き取れるようにしました。ただ、蓋の隙間があるので塗装時は下に新聞紙等を敷いた方がいいでしょう。
補機DCファンと接続するRCAジャックは
銅製のものをチョイス。12式ではメッキのものを使いましたが、ちょっとグレードアップ。
【設置・収納性】 13式の特徴の1つが収納性の高さです。塗装ブースを自作している方は多いですが、そのほとんどは常時設置型で収納性をほとんど考慮していません。片付ける必要がなければそれでもいいでしょうが、そう恵まれた環境にない人には収納できる塗装ブースはとても重宝するアイテムと思います。
13式は窓枠パネルやアルミダクト等、すべて塗装ブース本体に収納させることができるのでパーツをなくす心配がなく、片付ける際の取り扱いに便利。また、極力コンパクトに収まるよう1mm単位で設計しました。考えられる限り最小サイズにしたつもりです。
・セットアップ手順
注:この動画は音楽が流れます。 エアダクトボックスは収納時のコンパクト性を考慮し取り外し式にしました。一眼レフカメラの外部スピードライトのようにスライドさせて取り付けます。
・収納手順
組み立てや収納に工具は一切不要 上蓋を閉めるときにコツがいります。ギリギリの設計なのでうまくやらないとちゃんと閉まりません。LED照明の角とハニカムフィルターの上部中央部がかみ合うように上蓋を閉じて下さい。・フレキシブルアルミダクト 排気ホースに13式ではφ100mmのフレキシブルアルミダクトを用います。収縮時は約48cmですが、伸張させると約134cmまで伸びます。それでも足りない場合はホームセンターで購入してください。
極薄アルミのためヘコみやすいので伸縮させるときは気を付けて行って下さい。伸ばすときは両端を軽く持ち、まんべんなく回転させながらエキスパンダーのようにグイッと全体を均等に引っ張ります。縮めるときは片側をお腹に密着させ、両手でアルミダクトを軽く持ちゆっくりお腹の方へ引き寄せるように収縮させてください。力を入れないのがポイントです。
アルミダクトの設置ですが、自動車レースのサーキットを想定して行うといいでしょう。すなわち、スピードが落ちにくいセッティングが抵抗の少ない形と言えます。
上図の中で一番速く走れるコースはどれでしょう。もうおわかりですよね。当然(A)です。(A)と(B)は似てますが、(B)はカーブが直角に近く高速では走り抜けられません。ダクトも同じことで、カーブがキツイと乱気流が発生しスムーズに空気が流れなくなります。(C)は論外ですね。
すなわち、カーブは少なく、緩くすることが肝要。この点は排気能力に大きく影響するので是非気を付けて下さい。
【性能テスト】 ユーザーさんには満足していただけたのですが、自分的には12式の吸気力は想定に達していませんでした。それで13式は12式を上回るように構造を変えたワケですが、その実力はいかに!? 普通の二枚重ねのティッシュを吸い付けてみます。
メーカーのブランド力が、戦力の決定的差でないということを教えてやる!
市販品では取りこぼすようなスプレー塗装でも根こそぎ吸い込む圧倒的な吸気力。 55枚吸い付きました。クレオスのMr.スーパーブースが
12枚らしいので、最強の市販品より4倍以上の能力! 圧倒的じゃないか、我が13式は。
ちなみに、当然ながらダクトを取り付けた通常使用状態でのテストです。YouTubeなんかでダクトを付けていない状態でテストしている動画を公開している方がおられますが、ダクトの有無で吸引力は全然違ってくるのであれでは正確な性能を測ることはできないと思います。特に静圧性能の低い一般換気扇はダクトを取り付けたら威力半減ってパターンが多い。
しかし、これだけじゃありません。端の方の吸気力もナカナカのものがあります。先ほどの普通の二枚重ねのティッシュをさらに二つ折りにして吸い付けてみました。
スブレー塗装に対して市販品では役に立たんよ。(碇ゲンドウ調) 17枚吸着。実質34枚ですね。端でも最強の市販品を大幅に上回る性能を発揮! しかも、市販品はファン前面のパワースポットしか吸引力がないので13式の全面高吸引力はストライクゾーンを気にする必要がなく快適な塗装作業が行える。
13式が量産の暁にはメーカー品なぞあっという間に叩いてみせるわ!(その予定はないけど)
ん?
うぬぼれるなよ、お前の力で勝ったのではない。超強力DCファンの性能のおかげで勝ったのだ。吸気力アップのための工夫 プロペラファンで押し出し式にすると吹き返しが発生し、吸気力が大幅にダウンしてしまいます。13式も多分に漏れずその問題にブチ当たりました。しかし、静圧性能の高い超強力DCファンと吸い出し用の補機DCファンの採用、さらに創意工夫でこの問題を一応クリアしました。
1.誘導板の設置
11式、12式で取り入れた誘導板を13式でも採用することで空気の流れをスムーズにしました。ちなみに、この誘導板がない場合、ティッシュは42枚しか吸着しませんでした。
たった一枚の誘導板で… 奥の白いヤツは化け物かっ!?2.エディ(渦)排気システム
実はプロペラファンの排気はファンの後方にまっすぐ押し出されているのではなく、渦巻き状にグルグル回って排気されています。
擂り鉢状になっているので余計に排気しにくい構造(汗 13式では収納性を考え、φ150mmのファンからφ100mmのアルミダクトに押し込む設計にしたので排気効率に無理が発生してしまいました。作った後の祭りですな。(汗 解決方法として渦巻き状の空気の流れを上手く上に導くようエアダクトボックス内にフィンを取り付けました。
エアダクトボックス内のフィンによって空気が上方向に押し出される。 さらにエアダクトボックス内で乱気流の発生を防ぐためにファンの中央部にノズルフィンを設置。これらの細工によってティッシュ55枚を吸着させる能力を実現させました。
なんとかうまくいきました。3.オマケのφ150mmダクト
現状でも十分納得できる性能を持たせたとは思いますが、φ100mmダクトではボトルネックになるので超強力DCファン本来の性能が発揮できません。より高い吸引力が必要な場合に備え、ボトルネックを解消するφ150mmダクトシステムを用意しました!
エアダクトボックスの代わりに取り付けます。
本体と補機DCファンに取り付けます。
確証はありませんが、1.5倍は吸引力がアップすると思います。ただし、φ150mmは動作未確認なので使用する場合は自己責任でお願いします。
※φ150mmのアルミダクトは付属しません。必要な場合は近所のホームセンターかネット通販で購入してください。
動作音 メインDCファン単体の動作音は55dB。本体で共鳴するようなことはないのでそれ以上うるさく感じることはないと思います。音の大きさは人によって感じ方が違うので一概には言えませんが、自分個人としてはちょっとうるさいかなという印象。(自分は動作音に敏感な方だと思います。)メーカー品も大体40〜60dB前後の動作音なので、吸引性能を考慮すれば13式の動作音は小さいと評価できるかもしれません。
【エクステリアデザイン】 基本的に12式を踏襲したスクエアデザイン。デザインはシンプルがベストだと思います。
本体に内蔵したDCファンがカッチョイイ。
ネジ1本からゴム足に至るまで部材に拘ってます。
13式自作塗装ブース一式 サイズは若干12式より大きめになりました。
定格電圧:DC24V
定格入力:55.7W
サイズ:W490×H339×D287
総重量:約10.4kg
【総括】 12式自作塗装ブースを完成させたとき、吸気力にイマイチ納得いかなかったので新型機を設計していました。その時は実際に作るつもりはなかったのですが、12式に興味を持ってくれた方が自分にも作ってくれと依頼されたので、新型機の性能を試したかったこともあり受注したのが本計画の始まりでした。
幸いにして潤沢な予算を得たので部材に妥協することなく最適なものをチョイスすることができました。部材調達のため島忠、ドイト、ビバホーム等、ホームセンターには延べ100回くらい通ったと思います。品揃えが各店舗で違うんですよね。
12式の吸気力不足はファンと塗装エリアの距離的なところからきているのではないかと推察し、塗装ブース本体にメインファンを設置することにしました。ただ、プロペラファンによる押し出し式だと吹き返しが激しく著しい吸引力の低下が危惧されたので、出口の窓枠パネルに補機ファンを取り付けスムーズな空気の流れを図った。実際、補機ファンの効果は絶大でした。誤算はボトルネックになったφ100mmのアルミダクトでしたね。結局前述した通り一応問題はクリアしましたが、後継機ではφ150mmダクト仕様にしようかと考えています。(作る予定は今のところありませんが)
コスト面以外ではすべて12式を上回る性能を持たせられたと思います…あれっ、重量が軽くなってない!? とにかく今回も楽しく作ることができました。模型を作るよりも楽しかったり。ただ、ちょっと時間がかかり過ぎましたね。オーナーさんには大変お待たせしてしまい申し訳ありませんっ。(汗
タンデムツインファンやアルミ複合板を用いた折り畳み式窓枠パネル等、13式にアイディアをトコトン詰め込んだので自分的に13式が塗装ブースの完成形だと思っています。もし次があるとしたら13式改ですね。もっとも、もう依頼されても作る気はありません。楽しかったけど大変でしたから。仕事でやっていたら大赤字。(苦笑
それでも市販品には満足いかない、13式が欲しいという方がいらっしゃると思うので、13式で使用したパーツの単品販売を始めることにしました。超強力DCファンからLED照明ユニット、13式自作塗装ブース設計図まで自作塗装ブースパーツを販売いたします。プラモデルとは違った物作りの楽しみがありますよ。工作に自信のある方はどうぞご利用下さい。
→【あららStore】●使用部材・
超強力DCファン172・
強力DCファン120・MDFボード(9mm)
・MDFボード(5.5mm)
・MDFボード(4mm)
・MDFボード(2.5mm)
・アクリル板(2mm)
・塩ビ板(1mm)
・
アルミ複合板・光拡散板
・5mm砲弾型LED(48球)
・抵抗器(32個)
・ACアダプター(24V 2.7A)
・RCAジャック
・RCAコード
・ロッカースイッチ ×2
・アルミ材各種
・トルクヒンジ ×2
・パッチン錠 P-44 ×2
・パッチン錠 P-22 ×3
・蝶番 89mm ×3
・蝶番 38mm ×3
・蝶番 32mm ×4
・フラッシュ蝶番 89mm ×3
・クーラーキャップ(φ100mm)×2
・フレキシブルアルミダクト(φ100mm)
・ハニカムフィルター
・ペーパーフィルター
・カッティングシート
・磁石
・焼き網 ×2
・ゴム足 ×4
・ネジ各種
・配線コード
・収縮チューブ
・クリアデカール
●使用工具・電動ドリルドライバ RYOBICDD-1020
・ジグソー RYOBIJ-6500VDL
・テーブルソー E-Value ETS-10KN
・卓上ミニボール盤 EXON DP2250R
・丸ノコ 日立工機 FC5MA
・ルーター
・ハンドタップ
・+ドライバー
・スパナ
・ニッパー
・彫刻刀
・リベッター
・カッター
・Pカッター
・ハンダコテ
・ハンドクリップ
・木工ヤスリ
・鉄工ヤスリ
・紙ヤスリ
・コーキングガン
・ノギス
・三角定規
パソコン関連
・パソコン Apple Mac Pro
・カラープリンタ MD-5500
・Adobe Illustrator CS6
・Adobe Illustrator 8.0J
・Adobe Photoshop CS3
・リベット各種
・シリコンシーラント
・スプレー缶(つや消しブラック) ×3
・スプレー缶(つや消しクリア)
・木工用ボンド
・ボンド ウルトラ多用途S・U クリヤー 12ml
・両面テープ
【市販品考察・推察】
全般的に非力とは思いますが、エアーブラシを軽く使う程度だったら市販品でもそれなりに実用性はあると思います。スブレー塗装を想定している場合は最低でも
★3つ以上のものをチョイスした方がいいでしょう。ま、それでも力不足とは思いますが…
なお、付属コメントは「考察」ではなく「推察」です。実際に使ったわけではないのであくまで構造やスペックから導き出した推察。責任が持てるものではないのでテキトーな戯言程度に受け取って下さい。
メーカー | 製 品 名 | 価格(税込) オススメ度 | ファン 風量 動作音 | サイズ W×H×D (質量) | 収納性 |
タミヤ
| スプレーワーク ペインティングブース | ¥14,600
−−−−− | シロッコ (1基) 24W
750L/分 50dB | 470×290×450 (2.8kg) | ◎
フード折り畳み
収納時サイズ 470×290×200
生産終了 |
【推察】 非常に複雑で長い粉じん除去ラインのせいで吸気力が著しく低下する構造。全然吸い込まないとの声多数。タミヤも失敗作と認識したのか、後に構造を一新した新型機をリリースしている。 |
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スプレーワーク ペインティングブースII (ツインファン) | ¥26,040
★★★★− | シロッコ (2基) 48W 2100L/分 63dB | 400×300×530 (4.3kg) | ○
フード折り畳み
収納時サイズ D330 |
【推察】 フィルター構造を刷新して吸気力の低下を軽減させた新型機。さらにファンも2基搭載し吸気力のアップを図っている。各ファンに排気ホースとスイッチが別々に付いているのでその点の取り回しがちょっと面倒か。 |
|
スプレーワーク ペインティングブースII (シングルファン) | ¥17,640
★★−−− | シロッコ (1基) 24W 1050L/分 58dB | 400×300×530 (3.2kg) | ○
フード折り畳み
収納時サイズ D330 |
【推察】 ペインティングブースII(ツインファン)からファンを1基減らし、コストダウンを図った製品。当然のことながら吸気力は半減。後からファンを1基追加することも可能。 |
|
GSIクレオス | Mr.スーパーブース | ¥18,900
★★★★− | シロッコ (1基) 31W 115m3/h −dB | 620×370×330 (2.4kg) | △
取っ手付き |
【推察】 塗装エリアが広く、吹き返し防止効果が高いハニカムフィルターを採用した人気塗装ブース。ストライクゾーンでの吸気力はナカナカのものがある。反面、ストライクゾーンを外れた場所だとあまり吸い込まない。 |
| エアテックス |
ブラックホール | ¥15,540
★★−−− | シロッコ (1基) 16.5W 114m3/h 45dB | 450×380×565 (5.0kg) | △ 取っ手無し
回転台無し時 D365mm 販売終了 |
【推察】 エアテックスのベーシックモデル。ハニカムフィルターに類似するプレフィルターを前面に装備し、吹き返し防止を図った構造は評価できる。ただし、16.5Wのシロッコファンはパワフルとは言い難く、非力と感じてしまうだろう。 |
|
ブラックホール ツインファン | ¥23,940
★★★−− | シロッコ (2基) 33W 228m3/h 56dB | 450×380×565 (5.3kg) | △ 取っ手無し
回転台無し時 D365mm 販売終了 | 【推察】 ブラックホールにファンを1基追加した製品。最大風量228m3/hはスペック上市販品最強クラス。 |
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ブラックホール ライトハウス | ¥17,325
★★−−− | シロッコ (1基) 23.5W 114m3/h 45dB | 450×380×565 (5.3kg) | △ 取っ手無し
回転台無し時 D365mm 販売終了 |
【推察】 ブラックホールに蛍光灯ユニットを追加した製品。照明は取って付けた感が強く、ファンと連動していて使い勝手が悪いため、別に安価なデスクスタンドを買った方がいいような気もしないでもない。 |
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ハリケーン | ¥39,900
★★★−− | シロッコ (2基) 56W 210m3/h 52dB | 510×350×570 (9.6kg) | ◎ 取っ手付き
収納時は奥行220 販売終了 |
【推察】 本体の材質にステンレスを使い、ファンも2基搭載したエアテックスのフラッグシップモデル。ただ、吸気力を低下させたり吹き返しを発生させるような設計が気になる。ハイスペックではあるが、コストに見合った性能を持っているのか疑問を感じる。 |
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レッドサイクロン エル | ¥19,980
★★★★− | プロペラ (1基) 25W 240m3/h 60dB | 420×330×590 (3.5kg) | ◎ 取っ手付き
収納時 420×240×260 |
【推察】 コンパクト性を重視したエアテックスの新型機。ストライクゾーンでの吸引力はMr.スーパーブースを凌駕する性能を持つ。使わない時はコンパクトに畳めるが、排気ホース等は収納できない。フィルターが高価なのでランニングコストがかかる。奥行きは実質最短でも80cm必要。動作音も高め。→レビュー |
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ウェーブ | スーパー塗装ブース | ¥12,600
★★−−− | シロッコ (1基) 15.5W 105m3/h 35dB | 500×320×320 (2.1kg) | ×
出荷停止中 |
【推察】 ホビー用塗装ブースのパイオニア的製品。スペック的に非力で、構造的にもスブレー塗装にはまず対応できない。反面、動作音は静かなのでエアーブラシを軽く吹く程度ならオススメといえる。 |
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プロクソン | スプレーブース 22750 | ¥11,550
★−−−− | シロッコ (1基) 20W − −dB | 590×370×375 (非公表) | × |
【推察】 ボディにダンボールを使いコストダウンを図っている。ボディのダンボールは別売りしているので汚れなどが酷くなったら交換するといいだろう。 |
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ナカトミ | スプレーベンチレーション SPV-75 | オープン ¥4,200〜
★−−−− | シロッコ (1基) 15W | 430×350×500 (1.7kg) | ×
販売終了 |
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イリイ (輸入元) | TR-420EB | オープン ¥9,800
★★★−−− | プロペラ (1基) 25W 180m3/h 47dB | 420×360×480 (3.6kg) | ◎ フード折り畳み
収納時サイズ 420×240×150 |
【推察】コンパクトに折りたためるフードが特徴的な製品。2台並べて設置できる構造も有する。プロベラファンを採用した塗装ブースの新しい形を提案した製品と言えるだろう。ただ、排気ホースが真後ろに飛び出す構造のため、ある程度の奥行きを必要とする。
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アネスト岩田 キャンベル | まじかる☆サクショん MX3430 | ¥15,750
★★★−− | プロペラ (1基) 18W 120m3/h 60dB | 420×340×595 (3.1kg) | ◎ フード折り畳み
収納時サイズ 420×250×260 |
【推察】フードが折りたためるので収納性に優れるが、サイドのフードのため幅の広いものは塗装しにくいかも。設置には80cm以上の奥行きが必要で動作音も大きい。 パッケージのネコ耳少女キャラが特徴的な製品。 |
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アースマン |
スプレーブースセット HCPP-150 | オープン
★★−−− | プロペラ (1基) 16W 48m3/h 65dB | 420×335×485 (2.8kg) | ◎ フード折り畳み
収納時サイズ 420×250×150 |
【推察】最近よく見かける中華製塗装ブース。中身はほとんど同じなのですが、公表スペックが類似品と違ってだいぶ低いですね。 |
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・考察・推察 各メーカーの市販品を列挙してみましたが、メーカーが公表しているスペックは目安程度に受け取っておいた方がいいと思います。たとえば、31Wのシロッコファンを使ったGSIクレオスの「Mr.スーパーブース」は最大風量が115m3/hとなっていますが、16.5Wのエアテックス「ブラックホール」(114m3/h)が同等の能力を保持しているとはどうしても思えません。また、タミヤのツインファンは風量2100L/分となっていますが、立方メートルに換算すると126m3/hにしかなりません。どうも、ファン単体で測定しているメーカーとフィルターを装着した状態で測定しているメーカーがあるのではないかと思うワケです。
あと、全メーカー静圧性能を公表していません。プロペラファンを採用した「TR-420EB」は最大風量180m3/hと比較的高い数値ですが、プロペラファンはシロッコと比べ静圧が低いので最大風量だけで判断すると大失敗をしてしまいます。
ファンの出力性能や塗装ブースの構造、フィルターの設置構造を考慮して自分なりに推察してみたところ、GSIクレオスの「Mr.スーパーブース」とエアテックス「ブラックホール ツインファン」が市販品最強ではないかと考えます。コスパ的に「Mr.スーパーブース」の方がオススメでしょうか。
あと、タミヤの名誉のために一言。タミヤのペインティングブースII は他社とは一線を画したフィルター構造をしてまして、全面で吹き返しが少なく、フィルター面積を広くして急激な吸気力低下が起こりにくい作りになっています。局部的なパワースポットよりも全体の吸気力を考慮した設計を敢えてしたのでしょう。エアーブラシオンリーの使い方ならタミヤのペインティングブースII (ツインファン)は有力な選択肢に成り得ると思います。
・シロッコファンとプロペラ(軸流)ファン
11式の記事でも書きましたが、ちょっと復習。メーカーは静圧性能を公表していないので、電機メーカーを調べてみました。よく自作塗装ブースで使われる浴室用のシロッコファンです。
VD-15ZPPC9-BL
消費電力26.5W 最大風量195m3/h 最大静圧210Pa
13式で使った軸流DCファンは31.2W、最大風量510m3/h、最大静圧243.0Paなのでシロッコファンにも全然負けていません。というより、こっちの方が塗装ブースに向いているといっても過言ではない。おまけに断然コンパクトだし。
スブレー塗装もガンガン吸い込ませたい場合は自作しかありません!
1. 無題